ペテン死のオーケストラ
そんなマルメロの願いが届いたのか、王の容態が突然に悪化しました。

意識を失い、痙攣をおこし、まともに話しもできません。

人々は、そんな王を恐れます。

更に医者がとんでもない事を言います。


「王の体から微量の毒が検出されました」


その言葉を聞いた瞬間、人々は叫びます。

「マルメロだ!マルメロを捕まえろ!!」


突然、マルメロの部屋に大勢の人が入ってきました。

マルメロはあまりの出来事に言葉も出ません。

「マルメロ!お前を王暗殺の容疑で捕まえる!」

マルメロは目を見開きます。

一人の男が、マルメロの腕を掴もうとした瞬間マルメロは叫びました。

「意味がわからない!私は何もしていない!私を捕まえるだなんて間違いよ!」

「うるさい!マルメロ以外、誰がいるというのだ!」

マルメロは男を睨みつけて言います。

「サイネリアよ!サイネリア以外、考えられない!」

人々は一瞬、黙りました。

「ずっと王の側にいた!それに、王を嫌っていたわ!嫉んでいたのよ!息子に会えなかったから!理由なら、サイネリアの方がある!私が王を殺して何の得があるの!?」

男は「チッ」と舌打ちして答えます。

「マルメロは王の1番になれなくて嫉妬してるんだろ?女の嫉妬ほど恐いものはない。十分な理由だ。さぁ、来い」

男がマルメロの腕を掴み引っ張ります。

「止めてよ!触らないで!」

しかし、男はマルメロの腕を引っ張り外に連れていくのです。

マルメロが「もう駄目だ」と諦めかけた時、ストケシアが現れました。

ストケシアは息があがっています。

「待って下さい!マルメロ様は違います!」

マルメロはストケシアを見て、涙が込み上げてきました。

男は言います。

「何が違うんだ?マルメロ以外、有り得ないだろ?」

「だって、マルメロ様はずっと部屋に居たのですよ!?いつ、毒を盛るのです?」

「それは、その…。夜中でも何でも人目を盗んで盛ったんだろう」

「大きな城で、誰にも会わずに王の部屋まで行けますか?俺なら絶対に無理です!」

男は困りました。
ストケシアの言っている事は筋が通っているからです。
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