ペテン死のオーケストラ
サイネリアは真剣な顔。

「早く謝ってよ」

マルメロは我慢できずに怒鳴りました。

「私がサイネリアに何を謝るのよ!?謝るのはサイネリアでしょ!?」

「マルメロが謝るべきよ。最初に喧嘩を仕掛けてきたのはマルメロでしょう?」

「待って!何を言ってるの!?喧嘩なんか仕掛けてないわ!」

「仕掛けたじゃない!マルメロは、私の事を知らないのね!」

「知る訳ないでしょ!他人なんだから!」

サイネリアは、怒ります。

「他人!?ええ、そうよ!他人よ!でも、悪い事をしたなら謝るべきよ!」

「悪い事なんか一つもしてないでしょ!?サイネリア、貴女大丈夫?言ってることが分からないわ!」

「マルメロは、自分で気づかない間に悪い事をしているのよ!反省しなさいよ!」

「反省なんかするつもりはない!サイネリアに謝ることも何一つない!」


二人は睨み合います。

サイネリアが憎らしそうに言いました。

「本当に…、本当に私たちって似た者同士ね?」

マルメロも憎たらしそうに答えます。

「まぁ、似た者同士は認めてあげるわ。でも、サイネリアに負けてる所が一つあるのよ」

「負けてる?何よ?」

「負けず嫌いな所。サイネリアの負けず嫌いは強すぎ」

サイネリアは顔を真っ赤にしました。

「マルメロだって、負けず嫌いでしょ!?私だけみたいに言わないでよ!」

「負けず嫌いに関しては、サイネリアには及ばないわよ。良いじゃない、悪いことじゃないんだし」

「悪い事みたいに聞こえるから怒ってるのよ!ほら、早く謝りなさいよ!!」

「謝らない」

「負けず嫌い!マルメロ、謝って!」

「嫌よ。帰って」


サイネリアは目に涙を浮かべて怒っています。
しかし、マルメロは気にもせずサイネリアを追い返すのです。

「どうなっても知らないから!」

サイネリアは怒鳴ると、走って帰っていきました。
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