ペテン死のオーケストラ
そもそも、何故自分は捕まっているのか?


マルメロは訳が分からなくなります。


王に毒を盛ったと思われている。

マルメロの指示で買収をしたと思われている。


二つ共、全く違います。


マルメロは考えるのが面倒になってきました。

どう考えてもマルメロは悪くないからです。

ただ、周りが騒ぎ勝手に悪者にされた。

これが真実です。


自分の悪かった所といえば、傲慢な態度をとり反感をかっていたこと。

ただ、それだけです。

それに、傲慢なのは今に始まった訳ではなく幼い頃からずっとそうでした。


「つまり、私の性格が悪いからって事?」


マルメロは更に悩みます。

性格が悪いとは何か。

何を基準に悪いと決めるのか。

果たして、傲慢が悪なのか。

考えれば考えるほど、訳が分からなくなるのです。


「悪とは何?私には分からない…」


マルメロは、答えを諦めました。

なので、サイネリアの言う謝罪もできません。


どれくらい時間が経ったでしょう。

突然、カツン、カツン、と女性の足音が聞こえました。

マルメロは背筋を伸ばします。

サイネリアが来たことが、分かったからです。
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