ペテン死のオーケストラ

舞踏会

「まんまるマルメロ」

「夢みがちなマルメロ」

「勘違いマルメロ」

あいかわらず、マルメロは悪口を囁かれていました。

しかし、マルメロは気にもせずに道の真ん中を堂々と歩きます。

顎を少しあげ、背筋をピンとのばし、肩下まで伸びたゴワゴワの髪を揺らし、悪口を楽しむかのように歩くのです。

道を横断しようと立ち止まっていた時、マルメロにとって聞き捨てならない会話が聞こえてきました。

「来週の土曜に舞踏会がある」

マルメロは「これだ!」と胸が踊りだしました。

この町の領土主が開く舞踏会、町の貴族が集まるそうです。
領土主の息子が、18才になるお祝いは名目で、本当は嫁探しが目的だそうです。

マルメロは、話しに耳を傾けながら体中の血が沸き立つのを感じました。

「ついに、ついに運命が巡ってきたのね!」

マルメロは、行き先を変えます。
図書館へ行き、作戦を練ることにしました。

図書館に向かう道中も頭の中は舞踏会でいっぱいです。

「やっと、私があるべき場所に辿り着ける」

「この低俗な奴らから離れられる」

「必ず、嫁の座はいただくわ!」

マルメロの目はギラギラと鋭い光りをはなっていました。
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