ペテン死のオーケストラ
マルメロが目を覚ましハッと時計を見ると、翌日の昼でした。

「よかったわ…。舞踏会は18時からだから余裕ね」

マルメロはベッドから起き上がり、伸びをしました。

「ついに、運命の日。ふふ、この家ともお別れね」

マルメロは立ち上がり、昨夜作り上げたドレスを見て笑みを浮かべました。

「自分の手で掴みとる」

マルメロは、すぐに支度をはじめます。

髪と体を綺麗な水で洗い、髪にはオリーブオイルを染み込ませます。

部屋に戻り、ぬれた髪をしっかりと結い上げていきます。
ゴワゴワの髪がツヤを出し、美しく見えます。

さっそくドレスに着替えてみました。

コルセットをぎゅうぎゅうに締め上げ、ドレスを着ます。

「貴族も大変ね…」

マルメロは思いながら、鏡を見ました。

そこには見違えるほど、美しく気の強そうな女性がたっていました。
マルメロは魅入ってしまいます。

「私って、すごく美しい!」

マルメロは笑いました。
自分に酔いしれ、楽しくなってきたのです。

マルメロは、自分の顔を見ました。

「唇の色が薄いわ…」

マルメロは母親の口紅をぬりたくなります。
母親は仕事に出かけていていません。
マルメロは、こっそり母親の部屋に入り化粧をはじめました。

ばれたら酷く怒られるので、注意し少しだけ唇にぬってみました。

赤く色付いた唇にマルメロは感動しました。

一瞬にして、顔色がよくなったからです。

「素晴らしいわ!口紅がほしい!!」

口紅の魅力にはまりながらも、そっと元の位置に戻しました。

「いつか、手にいれてやるわ!」

マルメロは自分に言い聞かせ、自室に戻りました。
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