ペテン死のオーケストラ
時計をみると、もう18時過ぎです。

マルメロの家から、会場までは歩いて20分ほどかかります。

しかし、マルメロは椅子に座り読書をはじめました。

「少し遅れていかないと」

マルメロは、考えていたのです。

「早く着きすぎると目立たないわ。
目立つためには遅れて行くのが良いのよ。
それに、賑やかになってからの方が混ざりやすいわ」

必ず、成功させるために綿密な計算をたてていたのです。


20分ほど経った頃、ようやくマルメロは立ち上がりました。

「さぁ、ここからよ!」

マルメロは、胸がざわつき目つきが更に強くなりました。

町を歩くと、人々が驚きの声をあげます。

「誰だ?えらく強そうな女だ」

「恐いわ!誰よ、とても性格が悪そう」

「どことなくマルメロに似てるな」

マルメロには聞こえませんが、町の人々の顔を見れば分かります。
自分について、また悪口を言っているということが。

「この低俗な奴らとも、お別れね」

マルメロは鼻で笑い、堂々と歩いていきました。

会場に着いたのは19時半頃。
もう、賑わいをみせていました。
マルメロの思惑通り、何ら怪しまれることなく中に入れました。

「余裕だわ」

門番は、マルメロの迫力に逆らえるはずもなかったのです。

マルメロは堂々と会場に入っていきました。
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