ペテン死のオーケストラ
「なんて事なの!?」
母親の大きな声が聞こえます。
その声は、明らかに喜びを感じられます。
マルメロは笑いを抑えるのに必死。
冷たく凛々しい表情に戻し立ち上がりました。
玄関に向かうと、母親とハンノキがいます。
母親は騒がしく感動を伝え、ハンノキは満足そうに大笑いをしています。
マルメロに気づいた母親は叫びました。
「マルメロ!どういう事!?素晴らしいわ、素晴らしすぎて訳が分からない!」
「お母様、落ち着いて下さい。ハンノキ様の前ですわ」
マルメロは、ハンノキを鋭い瞳で見つめました。
ハンノキはご機嫌の表情でマルメロに話します。
「マルメロよ!やはり、美しいな!どうだ?母上からも許しは貰えたのだ。ワシの妻になるだろう?」
母親は必死に頷き、マルメロにも促します。
しかし、マルメロは首を縦にはふらず答えます。
「私は、ハンノキ様では手に負えない女です。お分かりですか?」
ハンノキは答えます。
「わかっておる!マルメロは大変やっかいな女だ。しかし、そこが気に入った!ワシなら、お前を満足させられるぞ」
母親も必死にマルメロに言います。
「マルメロ、何言ってるの!?こんな良い話し、断る理由なんてないでしょ?ハンノキ様、すみません。マルメロ!早く頷きなさい!」
マルメロは言いました。
「私を愛している証拠を三日後に見せて下さい。ハンノキ様の、本気とやらを私に見せて下さい」
母親は唖然とします。
しかし、ハンノキは興奮して答えました。
「よし分かった!!マルメロよ、ワシの力を見せてやろう。マルメロが満足すれば、ワシの嫁になると誓ってくれ!」
マルメロは小さく頷きました。
ハンノキは、それを見て満足し大笑いをあげました。
そして「三日間しか時間がない!急がねばな。では、三日後!」と、急いで帰っていきました。
マルメロは満足げに頷き、部屋に戻ります。
母親は、あまりの出来事に動けずにいました。
マルメロは部屋に戻り、抑えていた笑いを吐き出します。
「操りやすい者ばかりで、笑っちゃうわ!ハンノキは派手にやってくれるはず!町中に知らしめてやるわ、私の存在価値を!ここからが始まりよ」
マルメロは思い通りに事が進むことに喜びを感じていました。
そして、大きな野望も胸に決意を新たにしました。