ペテン死のオーケストラ
すると、サイネリアが緊張した様子で口を開きました。

「マルメロ?マルメロよね?」

サイネリアはジーッとマルメロを見つめてきます。

マルメロは「サイネリアから話しかけてくるだなんて!忌ま忌ましい」と、無視をしました。
すると、サイネリアは突然泣き出したのです。

「あぁ!マルメロだわ!だって、首につけているペンダントは私が贈ったものよ!マルメロ、私がどれほど心配したと思っているの!?」

マルメロには、サイネリアが泣いている意味が分かりません。
サイネリアは、続けます。

「マルメロから連絡が来ないから、心配になって貴女の家に行ったのよ!そしたら、ボロボロに壊されていて…!マルメロの身に何かあったのだと!」

マルメロは驚いてしまいます。
確かに、ハンノキと結婚した時に実家は町の人々に壊されてました。
でも、まさかサイネリアが来るだなんて思わなかったのです。
サイネリアは、泣きながらマルメロを抱きしめました。

マルメロは、一連の流れについていけず固まってしまいました。

すると、周りの席から拍手がおこるのです。

「な、な、なんなの!?」

マルメロは、頭に血がのぼります。
マルメロの屈辱的な過去が、まるで美談のようになってしまったからです。

「落ち着け…、落ち着け…」

マルメロは自分に言い聞かせます。
このままでは、またサイネリアのペースです。
マルメロは、サイネリアの肩を持ち言いました。

「ごめんなさいね。色々とあったのよ。でも、私たちは友達よ。少し離れていたくらい、平気でしょ」

サイネリアは目を輝かせて頷きました。

周りは涙を流してる者もいます。
マルメロは「馬鹿貴族共が!」と思いながらも優雅に振る舞いました。
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