ペテン死のオーケストラ
マルメロはクンシランを見て、冷静さを取り戻します。

「私ったら、今何をしようとしたの…」

自分の中の、恐ろしい一面を見たマルメロは妙な安らぎを感じました。

「そういう事ね…。私は…」

マルメロがぼんやりとしていると、クンシランと目が合いました。
クンシランは、マルメロの方へ両腕を伸ばし嬉しそうに笑い出しました。

その笑い声に、泣いていたサイネリアが気づきます。

「あぁ、クンシラン…。ごめんなさいね」

サイネリアは立ち上がり、クンシランの元へ歩きました。
マルメロはクンシランを見つめたまま思います。

「諦めたら駄目よ。ここから、道を広げなくては駄目」

サイネリアはクンシランを抱き上げ、マルメロの横に戻ってきました。
クンシランはマルメロに興味があるようで、腕をマルメロの方へ伸ばしています。

「ふふ、クンシランはマルメロが大好きね。マルメロ、良かったら抱っこしてあげて?」

サイネリアはマルメロに話しかけます。
しかし、マルメロは全く違う話しをはじめます。

「王の話しは断れないの?」

サイネリアは、少し驚き言いました。

「クンシランの前よ。後にしましょう?」

「サイネリア、クンシランは言葉をまだ理解してないわ、大丈夫よ。で、断れないの?」

マルメロの強い言葉に、サイネリアは黙ります。
マルメロは続けました。

「断れないのなら、一つ良い案があるわ」

サイネリアは急に目が輝きました。
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