ペテン死のオーケストラ
第3章 混沌

罪悪感

とても知的で洗練され、尚且つ冷たく鋭い独特の雰囲気を醸し出している女性がいます。

「プチ・ガーデンは今頃どうなっているかしら…」

女性は呟きます。

もう一人の女性が答えます。

「マルメロの大切な森よね。きっと美しいままよ」

独特の雰囲気の女性は、19才になったマルメロです。

「サイネリアは相変わらず呑気ね。私達がここに来て何年たったと思っているの?森が、そのままな訳ないでしょ」

もう一人の女性はサイネリアです。

二人は王の妾として、城に入り3年の月日が経っていました。

二人共、すっかり城の生活になれ今では文句を言うほどです。

特にマルメロの文句は酷く、周りの者を驚かせます。

「何がしきたりよ。私には関係ないわ」

マルメロは、城のしきたりに無関心です。
サイネリアは一応、しきたりを守ります。

「勘弁してちょうだい。私は自由が好きなのよ」

マルメロは、束縛されるのが大嫌いです。
サイネリアも束縛は嫌いですが、一応従います。

「王は私を1番気に入っているわ」

マルメロは、勝ち誇った表情で自慢します。
サイネリアは苦笑いをします。

こんな具合に、マルメロは文句や我が儘を言うのです。

そもそも、妾というだけで差別的な目で見られるのにマルメロは気にもせず自分をアピールしていました。

サイネリアは、マルメロを褒めます。

「マルメロって、本当に強いわ。何だって言えちゃうんだもの。私なんて恐くて無理だわ」

「そりゃ、強くもなるわよ。強くないと生き残れない世界よ」

「マルメロって難しい事を言うのね。とても、興味深いわ」

「サイネリアには分からないわよ。と、言うより分からなくて良い話しよ」

マルメロは幼い頃から、ずっと悪口を言われてきました。
ですから、城の人々の悪口なんか平気なのです。
寧ろ、自分への注目が集まっていると嬉しくなるくらいです。
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