ペテン死のオーケストラ
サイネリアは慌てて言います。

「マルメロ、そんな事してくれなくていいわよ。更にマルメロへの悪口が多くなるわよ!?」

サイネリアは真剣です。
しかし、マルメロはそんなサイネリアの言葉に更に苛立ちます。

「サイネリアが弱々しいからでしょ。それに、私は悪口なんか気にしてないわ。失礼な事を言わないでちょうだい」

「そんなつもりは…」

「ふん!一体どうしたいのよ?クンシランに会いたいって言うから協力してあげようと思ったのに。サイネリアは、息子よりも王を選ぶのね」

「そんな事ないわ!クンシランが1番よ!ただ、無理なものは無理なのよ」

「やる前から無理と決め付けるなんて笑っちゃうわ。やっぱり、私が王に言ってあげるわね」

「いらないって言ってるでしょ。分かったわよ、私から頼んでみる…」

マルメロは込み上げてくる笑いを堪えます。

「なんて簡単なのかしら」

マルメロはサイネリアを馬鹿にしています。
サイネリアは、ゆっくりと立ち上がり王の元へと向かいました。

マルメロはそんなサイネリアの姿を見て、満足感に満たされていました。


城の人々は、こんなマルメロを嫌っていました。

「気が強すぎるマルメロ」

「我が儘を言いすぎる」

「厭味ったらしい女」

マルメロへの悪口は増すばかりです。

「サイネリアが可哀相」

こんな、声まで聞こえてきます。
マルメロは他の悪口は気にしませんでしたが、サイネリアが可哀相という言葉だけは許せませんでした。

「何がサイネリアよ!?私がサイネリアに何かしたって言うの!?」

マルメロは苛立ちながら、悪口を言う人間を睨みつけるのです。

そんな態度のマルメロを、城の人々は更に嫌っていきました。

「サイネリアさえ、消えてくれれば全て上手くいくわ」

マルメロは、サイネリアの帰宅に期待していました。
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