ペテン死のオーケストラ
マルメロは一人、この胸の痛みについて考えました。

「今まで感じた事のない痛みだわ。…罪悪感?」

マルメロは、悩みます。
何故、罪悪感を感じたのかが分からないのです。
サイネリアへは、何も悪い事はしていません。
ただ、クンシランに対しては何故か罪悪感を感じてしまうのです。

「子供は苦手なのよ…」

マルメロは、クンシランへの罪悪感を消すかのように大きく深呼吸をしました。

「私の夢を叶えるには、罪悪感は不要な感情よ」

マルメロは、自分の中にある罪悪感を封印しました。

サイネリアは、その後もクンシランを心配し続けます。

「やっぱり、体調が悪いみたいなの」

「もう、ベッドから起き上がれないみたい」

「クンシランを抱きしめてあげたい」

マルメロは、サイネリアの話しを軽く聞いていました。
マルメロからも王に、それとなくサイネリアの息子について話してみたのですが王は「サイネリアは私の物だ」と言うだけです。

そんな王の言葉もマルメロにとっては、苛立ちの一つになるためサイネリアの話しをするのは止めました。

サイネリアは日々、やつれていきます。
食事も、ほとんど摂らず夜も眠れていないようです。

そんなサイネリアを、マルメロは情けなく思いながら日々を過ごしています。

「クンシランの体調が戻るか、もしくは死ぬか…。どちらでも良いから、さっさと終わらせてほしい」

マルメロは、そんな事を考え願っていました。

そんなマルメロの願いは、意外と早く叶うのです。


クンシランの死、という形で。
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