Red Hill ~黄昏の盗賊と冒険者~
俺は自分の無知を呪った。

呪って呪って、情けなくなった。

いっそのこと死んでしまいたい、そうも思った。


そして弟は俺を怒号して罵った。

まぁ、当然のことだ。

そのことが原因で、あいつは今も俺を恨んでいるだろう。

あいつにとっても妹は大事な存在だった。

妹はまだ17歳だったんだ。


そうして俺は盗賊団を抜けた。

あそこにいることが辛かった。

弟も俺の顔など見たくないだろう。


あそこへ一人移り住んでから俺は壊れていた。

毎日毎日酒をかっ喰らって、女と遊んで…。

早く忘れたかった。

が、忘れられなかった。


何度となく自殺も考えたが、どういう訳かまだ俺はこうやって生きている。

今じゃ当時に集めた骨董品をチビチビ売って、日銭を稼いでいる始末さ。

ほんとに情けないったらありゃしねぇぜ。

まぁ、今でもこんなチョーカーを大事に持っていること自体、俺にまだ未練があるって証拠かもしれねぇな。

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