Red Hill ~黄昏の盗賊と冒険者~
一旦ローグは、大きくロングソードを横に薙ぎ払ってモンスターを遠ざけた。

ソードの先端が獣の肉を切り裂き、どす黒い血が飛び散る。


距離をおいた獣は血を滴らせながらも、眼前の獲物から目を離さない。

威嚇しながら次の攻撃をどうしようかと考えているようだ。

「ローグ。魔法で仕留めることはできないの?」

「ばかやろ。こんなところで炎なんか出したら、大火事になっちまうだろ」

そう、ローグの攻撃魔法は主に炎を操る魔法が多い。
というより、その類しか習得していないのである。

反対に氷を操る魔法は苦手分野と言えるだろう。


「肝心なときに役に立たないんだから」

本心でない悪態を漏らし、ジルは近くにあった木の幹を蹴って高く跳躍した。

ローグの魔法が当てにできないなら、素手と武器でどうにかするしかない。

右手に持ったダガーを握り直し、空中から相手の頭部の眉間を狙う。

が、相手もそう易々と攻撃を受けてくれる奴ではない。

ジルに向かって声高く吼えた。


ジルは空中で身体を捻り、体勢を変えると、モンスターの眉間を蹴り飛ばした。

更に身を反転させてバック転で着地する。

休む間もなく果敢に攻め込む。

ローグも追い討ちをかける様にジルに加勢し、敵の脚や首元を狙って攻撃を繰り出した。

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