Red Hill ~黄昏の盗賊と冒険者~
またしばらく沈黙が続いた後、ロイが口を開いた。

「なあ」

「ん?」

「あんたの相棒、いい奴なんだな。
俺にもそんな相手がいてくれたら、楽になれてたかもしれねぇな」

愛も変わらずロイはジルには目線を向けない。
そっと目を細めて、悲しそうに、そして羨ましそうに呟いた。

ジルはその言葉にドキリとした。

ローグのことを褒められて、悪い気はしないはずなのに。
なんだか心を見透かされているような気分だ。


「長いのか?」

付き合いはどのくらいかと訊いているのだろう。

「えぇ。長すぎるくらいかも」

自然と言葉が漏れた。

言ってしまってから失敗したと口を押さえる。
そう少し言葉を選ぶべきだったと後悔しても後の祭りだ。

「なんだよそれ。含みのある言い方だな。
あんたみたいな女の面倒、みるのに苦労してんじゃねぇの?」

ぷっと吹き出して笑うロイ。

「どういう意味よ?」眉間にシワを寄せ、キロリとロイを睨む。

「いや。可愛げはないし、色気はないし、おまけに馬鹿力ときたもんだ。
まさかあんな怪物を投げ飛ばしちまうとは思ってもなかったぜ」

確かに可愛くはない。
馬鹿力なのも認める。

だが、色気がないとは余計なんじゃなかろうか。

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