Red Hill ~黄昏の盗賊と冒険者~
STAGE 8

バルバロッサの森には広葉樹や針葉樹などの様々な木々や、わずか1mにも満たない茂み、また人の背丈をも越えるほどの草花など、いろいろな植物が生息している。

その中で、ブラッド・スネークのアジトから程遠くない場所に、ラタメナの木が立ち並ぶ一画がある。

ラタメナの木というのは、その姿が特徴的で美しい。

上に向かって真っ直ぐに育つ習性があり、またその高さは他の木々と比べて群を抜いている。

天に向かって遥か高く成長する様はまさに圧巻だ。

枝先に大きく広がる青々とした葉をつけ、それらがほのかに流れる風でカサカサと音を立てながら揺れていた。


ジャンはそんなラタメナの木の上にいた。

地上から一番近いところに付けた太い枝に片足と尻を乗せ、背中を幹に預けている。

昔から男たちの間で、根性試しとして行われていた“滝壺へ飛び込む”という行為があるが、そんな根性自慢の男でも怖気づいてしまうくらいの高さだろう。


ジャンは一本のタバコを取り出して火を点けた。

ゆっくりと吸い込み、肺の奥まで煙を行き届かせる。

そしてまたゆっくりと紫煙を吐き出した。

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