Red Hill ~黄昏の盗賊と冒険者~
盗賊団の意思決定は、当たり前だが頭領のニックが行っている。

それに対して意見するつもりはない。
どちらかと言うと自分の意思で従っている。

もちろん、すべてが正しいことではないという自覚はしている。

だが、やめる訳にはいかない。

それだけの理由が自分たちにはあるのだ。
自分たちのことは自分たちで護るしかない。


ただ、カレンが生きていたらどう言うだろうか。

間違いなく反対して憤ることだろう。
そして嘆くだろう。

他に方法があるはずだ。
そうも言うかもしれない。


だからこそあのミシェルとかいう娘を近くに置いておきたくはなかった。

あの娘の涙を見たとき、まるでカレンが泣いているように思えた。


ジャンはもう一度タバコを吸うと空を仰いだ。

ラタメナの葉が揺らいでいる。

その隙間から覗く空は、所々雲が存在するものの穏やかだ。

浮かんでいる雲が上空の風に流され、右から左へとゆっくりと移動していく。

だが、最近の天気は変わりやすい。

先日のように突然雨が降り出すこともある。

数時間後にどんよりとした雲に覆われてしまっても不思議ではないだろう。


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