Red Hill ~黄昏の盗賊と冒険者~
「どうした?」

誰に問うわけでもなくジャンが発すると、

「アジトの方に向かう怪しい人影を発見しました」一番若い男が言った。

彼は最近ブラッド・スネークに入った男で、この辺りを監視していたのだろう。

この位置からでは遠すぎるのか自分には確認できない。


ジャンはその新人のところへ移動し、彼の持っていたコンパクト型の望遠鏡を受け取った。

伸縮する望遠鏡を伸ばし、彼の指差す方向へ向けて中を覗く。

右へ左へ焦点を合わせながら注意深く見ていく。

いた。

かなり遠いが、木々や茂みの隙間から見え隠れする頭が三つ、少し傾斜のある道なき道を進んでいる。

いったい何者だ。

いや、何者であろうが関係ない。

この辺りは俺たちの領域だ。
入ってくるものは容赦なく排除する。

ジャンは自分の口角が上がるのを感じた。

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