Red Hill ~黄昏の盗賊と冒険者~
なぜだ、なぜ攻撃をやめされる?
なぜ仕留めない?
仲間たちが腑に落ちない表情で怪訝に思っているのは声の主には分かっていた。
だが、今この場では自分の命令が一番優先される。
あえて睨みを利かせて待機の命を送ると、彼はその場から跳躍して地に降り立った。
ロイが茂みの影から姿を現し、「ジャン」と呼びかけた。
ロイの表情はまだ警戒を解いてはいない。
が、話はできると考えたのだろう。
ジルとローグも武器を収め、その傍らで様子を覗う。
ジャンは頭を覆う布を剥ぎ取って顔を晒すと、ロイに近寄って言った。
「兄貴、何のつもりだ?
なんでこんな場所にいる」
「決まっている。
お前らを止めに来たんだ」
ロイの言葉にジャンは唇の端を噛んだ。
ロイがアジトへやって来るなんて予想外だった。
こいつらに何か脅されでもしたのかと疑いたくなってくる。
しかし、ロイの瞳に迷いや脅されたときに生ずる怯えの色など一切存在しない。
彼自身の意思の表れであることは疑いの余地がない。
そう感じた。
そう感じたが、ジャンは言い返さずにはいられなかった。
「止めるって…。
もう兄貴は俺たちとは関係ないはずだろ」
それでも仲間たちに会話を聞かれるのは避けたい。
そう思ったのかジャンは声のトーンを落とす。
「なら、なぜあの娘を俺のところへやった?」
「それは…」
「関係ないと言うのなら、俺を頼りにするな」
鋭い眼光で睨まれ、心臓をグサリと刺されるような言葉にジャンは返す言葉を失った。
自分の行動が間違っていたとでもいうのか。
ロイを信用した自分が浅はかだったのだろうか。
なぜ仕留めない?
仲間たちが腑に落ちない表情で怪訝に思っているのは声の主には分かっていた。
だが、今この場では自分の命令が一番優先される。
あえて睨みを利かせて待機の命を送ると、彼はその場から跳躍して地に降り立った。
ロイが茂みの影から姿を現し、「ジャン」と呼びかけた。
ロイの表情はまだ警戒を解いてはいない。
が、話はできると考えたのだろう。
ジルとローグも武器を収め、その傍らで様子を覗う。
ジャンは頭を覆う布を剥ぎ取って顔を晒すと、ロイに近寄って言った。
「兄貴、何のつもりだ?
なんでこんな場所にいる」
「決まっている。
お前らを止めに来たんだ」
ロイの言葉にジャンは唇の端を噛んだ。
ロイがアジトへやって来るなんて予想外だった。
こいつらに何か脅されでもしたのかと疑いたくなってくる。
しかし、ロイの瞳に迷いや脅されたときに生ずる怯えの色など一切存在しない。
彼自身の意思の表れであることは疑いの余地がない。
そう感じた。
そう感じたが、ジャンは言い返さずにはいられなかった。
「止めるって…。
もう兄貴は俺たちとは関係ないはずだろ」
それでも仲間たちに会話を聞かれるのは避けたい。
そう思ったのかジャンは声のトーンを落とす。
「なら、なぜあの娘を俺のところへやった?」
「それは…」
「関係ないと言うのなら、俺を頼りにするな」
鋭い眼光で睨まれ、心臓をグサリと刺されるような言葉にジャンは返す言葉を失った。
自分の行動が間違っていたとでもいうのか。
ロイを信用した自分が浅はかだったのだろうか。