Red Hill ~黄昏の盗賊と冒険者~
その広い洞窟の中に、木製で作られた建造物が存在感を露わにして佇んでいる。

洞窟の片方に寄せて作られた大きな家とでも言うべきだろうか。

その家はどれほど広いのか、奥へと広がり、一段底を上げられて作られた床板に沿って入口が幾つも設けられている。

扉と扉の間隔はまちまちだ。

どこかの町で見たような集合住宅か長屋のようにジルは感じた。


その扉の中でも、ひときわ大きく目立つ両開きの扉を開けて、ジャンは中に入るように促した。

ジャンの後に続き、一行は建物内に上がりこむ。

家の中は専門の大工によって作られた物ではなく、盗賊たちの手によって出来上がったのだろう。

あまり建て付けもよくなく、一歩進むたびに床板が軋んだ音をたてる。

ところによっては斜めに沈み込み、抜けてしまうのではないかと思うくらい危ない場所もあった。


廊下と思える通路は途中で切れ、まるでパズルのように大きさの異なる部屋と部屋が隣り合わせで並んでいる。

またそこを抜けると、廊下が姿を現す。

増設に増設を繰り返したのだろう。

ジルはまるで迷路に迷い込んだような、そんな錯覚さえ起こした。

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