Red Hill ~黄昏の盗賊と冒険者~
いよいよ盗賊の頭とご対面か。

ジルは無意識に大きく息を吐くと、ロイの様子を覗った。

彼は少し緊張しているような、それともこの状況を楽しんでいるような、そんな表情を浮かべている。

いろいろな思いが交錯しているのだろう。

しばらくは彼と盗賊のやりとりを見守るべきだろう。
ジルはそう思った。


開けるかどうか躊躇っているジャンにロイは目で促した。

開けてくれ。
そう伝えると、ジャンは軽く扉に手をかけた。

ギイイィィィ。

鈍い音を発し、ゆっくりと扉が開かれる。


そこは今まで通ってきた部屋と違い、石畳で出来た空間だった。

ただ広く、あちこちに開けられた天窓から射し込む陽の光が眩しい。

ここは洞窟の中だった。
すると盗掘の天井に穴でも設けられているのだろうか…。

一同が部屋の上空を見上げていると、その奥にいた人影がゆっくりと動いた。

腰掛けていた椅子から立ち上がり、恭しく一礼をする。

だがそれは、客人を迎える一連の動作にしか過ぎなかった。

顔を上げた男の顔は、にこりとも微笑まず、ただ無表情にジルたちを見据えるだけだった。

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