Red Hill ~黄昏の盗賊と冒険者~
ダレンの荷物が積み込まれると、次に村の野菜や名産品が積み込まれる番だった。
ダレンは踵の裏でタバコの火を乱雑に消すと、軽く挨拶をして再び馬車の作業に加わっていった。
「相変わらずなヤツだな」
スコットがポツリと言う。
「でも、旅慣れはしてるみたい」
作業に徹するダレンの姿を眺めながら返した。
道中、心強いだろう。
ジルはそう思った。
「で、ミシェルのヤツは、どこにいるんだ?」
思い出したようにスコットはそう言って辺りをキョロキョロと見回した。
まだ朝日が顔を出していない薄暗い中では、誰がどこにいるのかがはっきり分からない。
見渡しながら馬車へと近づいていくと、
「やっほぅー。おはよう、ジル」
もうちゃっかりと馬車の中に乗り込んでいたミシェルが、窓を開けてジルに向かって手を振った。
興奮しすぎて今日は早くに目が覚めてしまったのだろうか。
これから始まる旅に期待を膨らませ、顔を紅潮させている。
ジルを待ってましたと言わんばかりに、ミシェルは手招きし、隣に乗り込むように促している?
そんなミシェルにすぐに行くと伝えると、ジルは御者の元へと向かった。