Red Hill ~黄昏の盗賊と冒険者~
ロイは半身を起こすと、その場に佇んだ。

しかし、すぐにニックとジャンの様子がおかしいことに気づく。

「おい、どうしたんだ?」

「来るなっ!」

近づくロイをジャンが威嚇し、制した。

ニックの身体を抱え、ロイを睨む。

しかしそこで、ニックは震える手を伸ばし、ジャンの腕を掴んだ。

「ニック、大丈夫か?」

ジャンはその腕に素早く反応する。

胸部を苦しそうに押さえながら、ニックは言った。ジャン、もういい…と。

「え…?」

「もう、…いいんだ」

もう一度ニックは言うと、胸を押さえながらジャンの支えを解いた。

そして、苦しさに耐えながらロイの方を向く。

ロイもその視線を避けず、しっかりと見据えた。

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