Red Hill ~黄昏の盗賊と冒険者~
「一応、血は止まって、鎮痛剤を打ってもらったけど、結構傷は深いんだから」

ローグは諭すように言った。

「ねぇ。私、どのくらい寝てたの?」

「まぁ、半日くらいかな」

「それで、ロイは?
あの人たちは、どうなったの?」

自分が気を失っている間に何があったのか、どうしてこんな治療を受けることができたのか、聞きたいことは山ほどある。

気が焦りローグに詰め寄った。

するとローグはそんなジルの手を包み込むと、片膝をついてしゃがみ、目線をジルと同じ位置にした。

「大丈夫だから、焦んなって」

「でも…」

「実を言うと、俺もまだ詳しいことは聞いてないんだ」

「え…?」

「あれから、あのロイの弟が倒れたんだ。
事情はよく分からねぇが、大騒ぎだ」

そこでローグは短く溜め息をついた。

じれったい気持ちはローグも同じなのだろう。

そんなローグの姿を見て、ジルは「そっか…」と呟いた。

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