Red Hill ~黄昏の盗賊と冒険者~
「…そういう事か」
話を聞き終えたロイが、溜め息混じりにそう漏らした。
「それじゃあ…、さっきの子供と女の人は…」
「そう…。あの廃墟の村にいた子供と、僕たちが世話役にと連れてきた女だよ」
ジルが訊くと、ニックが予想通りの言葉を続けた。
子供たちはニックのことを命の恩人だと思っている。
いや、恩人であることに変わりはない。
それでニックを庇うような素振りをしたのだろう。
だが、女性の方はどうだろう。
ニックの話によれば、彼女は襲われ、攫われてきたことになる。
彼女はここにいることに満足しているのだろうか。
「それで、彼女は納得しているの?」
ジルは訊いた。
その質問にニックはかぶりを振った。「分からない」と。
「だけど、事情を説明したら、ここに残ってくれた。
僕たちだって、何も無理強いをしたわけじゃない。やり方は強引だったと認めるが、残るのは本人たちの意思に任せたよ。
実際、連れてきた女の内、何人かは帰っていった…」
ようするにニックが言うには、話を聞いて納得した者だけがここにいる。
全て悪党だと罵られるのはごめんだ。
そういうことだろう。