Red Hill ~黄昏の盗賊と冒険者~
数時間も経つと、単調な馬車の揺れに、ミシェルはこくりこくりと舟を漕ぎ出した。
朝は昂ぶっていた気持ちも、ただ馬車に乗っているだけなので退屈になってしまったようだ。
昨晩、興奮して寝られなかった為か、朝が早かった為か、定かではないが脳が睡眠を欲する。
起きていようという気持ちが、重い瞼に負けてしまい、ウトウトと眠りに誘われる。
楽しみにしていた旅が、こんなにも単調な始まりに少し物足りなさを感じながら、これからどんなことが待ち受けているかという思いも捨てられずに、馬車の揺れに身体を預ける。
考えていたのも束の間で、ミシェルの思考は薄れる意識と共にやがて消えていった。