Red Hill ~黄昏の盗賊と冒険者~

何なの、いったい…。

情報を得ようとする脳が、辺りを素早く観察する。

馬車の屋根の上からは、すべてが見渡せた。


馬車前方の馬は止められ、二人の男が湾曲刀を手に御者に睨みを利かせている。

御者の二人は真っ青な顔で男と対峙しているのだろう。

後ろ姿で顔は見えないが、怯えているくらいは分かる。

乗合馬車の御者は、かつてはジルたちのような冒険者で屈強な者が多いと聞いたことがあるが、どうやら今回の同乗者はそうではないらしい。


ジルが飛び出した扉側の側面には三人の男。

背後、つまり反対側には人の気配は感じない。

前方斜めを取り囲まれた形だった。


いったいこの男たちは何なのか。

友好的とはとても思えない。

いきなり襲いかかってきたことが、それを証明している。

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