Red Hill ~黄昏の盗賊と冒険者~
STAGE 3
真っ青に晴れ渡る快晴の空の下で、気まぐれとしか思えない風がビュッと吹き、丘の斜面を駆け上がる。
風は丘の赤茶けた砂を巻き上げ、辺りに細かな砂嵐をよぶ。
遠目から見ても、それはよく分かった。
タティウスの丘は、今や巻き上げられる砂に包まれ、輪郭に靄がかかったようだ。
このバルバロッサの森を出た辺りでは、そんなに風は強くないというのに。
森の出口付近に佇んで、その男は持っていた水筒の中身で口元を湿らせた。
水はもう残り少ないが、目的地は目と鼻の先にある。
この位置からでも、その村落は確認できていた。
まっすぐに行けば、森と丘に囲まれた静かな村、リィズ村だ。
ここへ帰ってくるのは何日ぶりだろうか…。
そんなに日は経っていないが、懐かしく思えた。
男は口元を拭うと、荷物を抱え直し、村に向かって歩き出した。