Red Hill ~黄昏の盗賊と冒険者~

「おい、どうしたんだ?」

ローグのその一声に、一斉に全員が振り返る。

一瞬、間があったが、声の主がローグだと分かると、表情を綻ばせてスコットが前に出た。

「ローグじゃないか。
今、戻ったのか?」

「あぁ。今着いたところだよ」

そう言うと、スコットをはじめ、皆がローグの帰りを喜んだ。


心配したんだぞ。

どこを彷徨い歩いてたんだ?

無地でなによりだ。

おかえり。


次々に言葉が飛び交い、それに対してローグも笑顔で応える。


だが、さっき疑問に感じたことは、まだ払拭されていない。

一通り他愛のない会話を交わすと、ローグは尋ねてみた。

「何か様子がおかしかったけど、どうかしたのか?」

すると、スコットたちは顔を見合わせて俯いた。

ローグの帰りを喜んだ表情から一変し、暗い顔を浮かべる。

どうしたというのだろう?

そう言えば、ジルの姿も見当たらない。

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