Red Hill ~黄昏の盗賊と冒険者~
STAGE 4
ダレンを村に引き返させた後、ジルは馬車に乗ってグランドヒールに向かった。
御者は被害の連絡と報告にグランドヒールの支店に行かなければならないらしく、どうせならと同乗させてもらった形だ。
怯えた馬たちを落ち着かせるのに時間が掛かったが、それでも徒歩に切り替えるよりは数段に早く目的地へ着くことができるだろう。
壊れた蝶番のせいで、安定しない扉がカタカタと音を立てる。
狭いと感じた馬車の中が妙に広く感じた。
ミシェル…。
ジルは揺れる馬車の中で、今どんな怖い目に遭っているのか分からない友人を思った。
やはり、一緒に旅をするなんて危険な真似はさせるべきではなかった。
どんなに強く懇願されても、反対すべきだった。
ジルは強い自責の念に駆られていた。
こうなったのは自分の責任だ。
ミシェルはダレンと共にグランドヒールへ向かうことが決まっていたのだが、ジルにはどうしてもそう思えてならなかった。