Red Hill ~黄昏の盗賊と冒険者~
STAGE 5
翌朝、支度を終えたジルは足早に部屋を出た。
階下の店へと顔を出すと、店主の彼女が微笑みながら迎えてくれた。
彼女も少々寝不足気味のようだったが、微塵にも思わせない態度で接客してくれる。
そうそう、昨日はザックの話と事件の件で聞きそびれてしまっていたが、彼女の名前はシェリーといった。
シェリーはチーズトーストと半熟たまご、サラダ、ホットミルクの朝食を用意してくれていた。
とても有り難い。
ホットミルクの温かさが、彼女の優しさと相俟って、ジルの気持ちを包んでくれているかのようだ。
そして、朝食を食べ終えたジルに、多少の役に立てればと、この辺りで物知りな老人の住所を教えてくれた。
老人はアイザックというらしい。