Red Hill ~黄昏の盗賊と冒険者~
STAGE 6
ざくざくと土を踏みしめる二人の足音が聞こえている。
既に二人は街の外れにまでやってきていた。
舗装された道路はいつしかなくなり、土や砂利でできた小道が引かれている。
その脇には草花や木々たちが静かに二人を迎えていた。
だんだんと住宅と呼べるものもなくなってきている。
背後にはグランドヒールの街の夜景が浮かび上がっているが、この辺りは真っ暗と言っていいだろう。
先ほどまで顔をだしていた月も、いつの間にか暑い雲に覆われて姿が見えなくなってしまっていた。
火を燈したランタンを手に、ジルは先を歩くローグの背中をぼんやりと眺めた。
背中に、肩に、ローグに抱きしめられたときの感覚が残っている。
頬もまだ押し当てられた革アーマーの冷たさを覚えていた。
逞しいガッチリとした腕に優しく包まれた自分。
思い出すと同時にジルは顔後赤くなるのを感じた。
思わずローグの背中から視線を外す。
私ったら、何考えているのだろう。
落ち着かなきゃ。
そう冷静になろうとするが、鼓動の早さは治まってくれない。
ドキドキと高鳴り、煩いくらいだ。
ジルはこの音がローグにまで聞こえてしまうのではないかと戸惑った。
なぜ、こんなに意識してしまうのだろう。