Red Hill ~黄昏の盗賊と冒険者~
落ちたランタンが照らしていたもの、それは線路だった。

まだ工事中のようで、下からは確認できなかったが、傍らには材料になる品物がきちんと並べて置かれていた。

街の中心部に向かって線路は引き込まれているのだろう。

そう言えば駅舎も建設中だと耳にしたような気がする。


この街にもようやく汽車が通ることになる。

馬車や徒歩での移動しかできなかったが、だいぶ便利になるだろう。
遠出もしやすくなりそうだ。

ただ、料金は比較できないくらい高額になるのだろうが。


「大丈夫か?」

「ごめん。大丈夫だから」

何でもないように振る舞い、ジルは立ち上がった。

本当に何をやっているのだろう。
自分が情けなくなる。

そんなジルを励ますかのように、「ほら、行こう」とローグは声を掛けてジルの頭をクシャッと撫でた。

その仕種がジルをまたドキッとさせるのだが、ローグはそんな事などまったく気にしていないようだった。

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