キズだらけのぼくらは
仕事終わりのサラリーマンみたいに、ジジくさいため息が出る。
鏡に映っている私の顔はそんなため息にお似合いのさえないものだった。
どんなに色鮮やかな服を着ても、真上から降りる蛍光灯の明かりは、私の顔に黒い影を落とす。
たかが蛍光灯の明かりに、自分の本性があぶり出されているようでイヤになるよね……。
鏡の中の暗い顔に情けなく笑いかけた私は、すぐさまトップスに手をかけ脱ぎ捨てた。
ショートパンツも、ファスナーを下げればするりと床に落ちていく。
キズのある左脚の脛に擦れながら……。
そうやって服を脱ぎ捨て、床に散らかっている服の中から、グレーのよれた服だけを拾い上げると、Tシャツにそそくさと袖を通し、ズボンへと乱暴に足を突っ込んだ。
普段からももたんブログのために着替えが多くなる私は、数秒で着替えを終えることができる。
左脚は動かしづらくても、もう手慣れたもの。
ほら、鏡の前にいる人間はもうももたんではなく、全身灰色の羽咲桃香へと大変身。
まるでマジックみたいでしょ?