キズだらけのぼくらは


生徒たちの笑いが、波のようにどっと押し寄せる。

鈴みたいにかわいげな声も豪快に出された声も、はっきりとした悪意を持って、私をのみこんでいく。

「ホント、うちのクラスってキモイやつばっかじゃない? なに考えてるかわかんないガリ勉は、復讐するなんてヤバイこと言ってるから怖いし~」

秋穂は胸の前に下がる巻き髪をくるくると指に巻きつけながら、私の席がある方に目を向ける。

ちょうど、新太が私の机を置くところだった。

でも、新太はなにも言わずに廊下側の席を戻すために姿を消す。

さーっと血の気が引いていくのがわかった。

外野の楽しげな声がわき起こっているけれど、ひとつひとつ聞きとる余裕なんて、私にはなくなった。

秋穂の足は焦らすように蛇行しながら、一歩一歩私に忍び寄ってくる。

私の1メートル前まで来た秋穂は、不敵に笑った。

死刑宣告が下る……。


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