キズだらけのぼくらは
見ているかはわからない。
でも、だったら、見るまで送ってやる。
私の指は、何度も送信ボタンを押した。
そして、もう何度押したかわからなくなったころ、私のスマホは手の中で大きく震えだしたんだ。
私は短く息をのみ、即座に届いたばかりのメッセージを開いた。
送り主は待ちに待った相手、アキム。
スマホから一度顔をあげ、ふたりを順に見る。
泣き腫らした目で私を見上げる座ったままの結愛と、フェンスを背に揺れない眼差しを向ける新太。
そんなふたりの顔を見てから、私は大きく息を吸い込んだ。
「今日、午後5時、図書室」
3つのワードしか並んでいないメッセージ。
スマホを掴んでいる手を徐にのばし、空に掲げて上を向く。
きっと、アキムはくる……。
私は強くそう念じた。
今日も空は青く高いけれど、その青までもこのメッセージと一緒に睨みつけた。