キズだらけのぼくらは


だから私は心の中で笑って、そんなノイズを無視して歩く。

教室のあちらこちらから向けられる目に一切目を合わせず、無視し続けた。

そんなものにイチイチとりあっていたら、ますますアイツらの思うツボ。

私はギリッと音がするくらいに歯を食いしばりながら、重い左脚を引きずった。

ここで泣きでもしたら、私の負けになる……。

そうして我慢して行き着いた自分の席。

でも、窓からの光は憎々しく、机の上全体が照らし出していた。

周りには色濃い影ができているのに、窓際の私の机はわざとらしいくらいに明るい。

私は、抱えている教科書にきつく力を込めた。

“キモイ、消えろ、ブス、詐欺師”

赤いマジックで殴り書きされた文字が私の目に焼きつく。

むしばむように、私の机は赤い文字で埋め尽くされている。

ぞくりと寒気がした。

それは、害虫が隙間なく寄ってたかっている光景によく似ていた。


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