キズだらけのぼくらは
私はクラス全体をぼんやりと視界に映しだして、アイツみたいに鼻で笑いたくなった。
こんな世界くだらない。世界自体が腐っているんだ。
みんなに溶けこむために着崩した制服。
一軍のご機嫌取りをするためにあちこちで響き合うノイズ。
落書きの跡が残るキズだらけの机。
そんなもので飽和状態になった教室内は、薄汚れて、歪んで見えた。
だけどそんなのいつものこと。
私が今解明しなければいけないのは、私にあんなメッセージを送りつけてきた犯人の正体。
あれが真実ならば、ももたんが羽咲桃香だと知っていることになる。
ならば、この教室の中に犯人はいるかもしれない。
耳に流れ込むノイズの中に、私を笑う声が混じっているような気がして、耳が敏感になる。
私は憎しみをこめながら、分厚い前髪に隠れて、全員を睨みつけていた。