キズだらけのぼくらは


私はIDとパスワードを打ち込んでマイページにログインする。

ログインした先に表示されていた名前は、“ももたん”。

ページの上部には、新着のコメントやメッセージの知らせが出ている。

それを見るたびに、私は満足する。

勝ち誇ったような気持ちになるの、一軍の女子たちにね……。

「桃香~、そろそろお風呂入っちゃいなさーい」

すると廊下からお母さんの声が聞こえてきた。

「わかったー」

私は気のない返事をして、パソコンの画面を渋々閉じる。

机に手をついて立ち上がると、右足でしっかり床を踏み、動きの悪い左足をゆっくり前に踏み出しながら部屋を出た。

脱衣所に行くと、なんの飾り気もない黒いTシャツや白っぽくなってしまったジーンズ、下着を次々と脱いで、洗濯カゴに投げ入れる。

そしてお風呂場に足を踏み入れると、真正面にある鏡に私が映っていた。


< 3 / 490 >

この作品をシェア

pagetop