キズだらけのぼくらは
私は、そんな結愛にみとれて、そして、鬱陶しいくらいに長いスカートを見つめて呟いた。
「結愛。私にもできるかな……。誰かを救うこと。もう遅いかな……?」
長い前髪がだらりと下がってきて、私の視界に入る。
いつもこうして、なにかを見ないようにしてきた。
余計なものを目に映して、がっかりしないために。
重たい前髪は、視界の中で不快に揺れた。
「きっと、できるよ。私にもまだわからないけど、変わりたいって気持ちさえあれば、きっとできる。遅いなんてこと、ないよ。私はそう信じたい」
結愛の声が喉の奥そこで震えながらも、力強く私にふってきた。
私は長いスカートの一部を掴んで、尚も声を絞る。
「本当に私なんかにできるのかな……。すごく暗い場所でひとり泣いてるヤツを救うことができるのかな……?」
その時、私の背中に細い腕が回されて、引き寄せられた。
「桃香なら、大丈夫だよ。桃香は、こんな私と友達になってくれたじゃない。そんな桃香なら、できるよ」