キズだらけのぼくらは
私は俯いたまま目頭が熱くなるのを感じてぐっとこらえた。
鈴のように愛らしい声が、胸の奥深くへ入り込む。
小さな手が、私の背中をさすりはじめる。
ピタッとくっついた体が温かい。
「結愛……」
情けない声が零れた。
スカートのプリーツが涙でぐにゃりとゆがむ。
初めてだったんだ。
友達にこうやって背中をさすってもらうのが。
勇気づけてもらうのが……。
仲のいい女子同士が喜びあって抱き合うのを何度も見たことがあった。
でも、自分がそんな風にされる日が来るなんて思いもしなかったんだ。
だから、胸がいっぱいになるの。
嬉しかったの……。
私はなにも言葉を返せずに、結愛の言葉をかみしめている。
そして、背中の上で上下に動く結愛の手の温かさを感じ取っていた。