キズだらけのぼくらは


そして、ぶっきらぼうに差し出された手に私はつかまり、頷いて立ち上がる。

立ち上がって振り向けば、寄り添った結愛と新太が穏やかな顔をしていた。

いっぱいいっぱい、心にキズを負ったのにふたりの顔はキラキラとしていて、私は目を細める。

でも、委員長の泣き声のような声が聞こえてきた。

「僕は……ただ、羨ましかったんだよ、関谷が……。羨ましかっただけなんだよ……」

蚊の鳴くような小さなひとり言。……委員長の心の奥底の声。

冷たい教室に、涙にぬれた痛々しい声だけが彷徨う。

委員長を見下ろしてみると、決して顔を見せたくないのか俯いていた。

もしかしたら、私もこうなっていたのかもしれない。

私も弱いから。ううん、人間はみんな弱いから。

その弱さが大きければ大きいほど、人をキズつけるんだ。

だけど、近くを見ればあの3人がいた。

私は委員長とはちがうんだ。信用できる人たちができたんだ。

窓から入り込む夕日の光は、私たちを温かなオレンジに包み込んでくれていた。


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