キズだらけのぼくらは


ここにいる私が、その鏡に映っている私が、ももたんだ……。

顔を覆い隠すような真っ黒で分厚い前髪と肩まで下がる鬱陶しいうしろ髪。

死んだ魚みたいにくすんだ瞳と、極めつけは左側だけ下がった肩。

右足と違ってしっかりと地についていない左足のおかげで、立ち姿は左右非対称。

そんな自分の姿を見ていたら、苦しげに眉根がより、噛みしめた下唇から血の色が消えていった。

私は衝動的に桶を取り、湯船のお湯をすくいあげると、鏡に向かって全力でぶちまけた。

お風呂場に反響する、凄まじい水しぶきの音。

あたりを見回せば、粉々に割れたガラスの破片のように飛び散った水滴。

それはもちろん自分にも返ってきた。

私の皮膚を掠り、切り、突き刺すかのように。

それでも鏡は壊れず、水は滑るように表面を流れている。

相変わらず、私を映し出している。

なにも持っていない三軍以下の女子高生、羽咲桃香を……。


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