キズだらけのぼくらは


そうすれば、私は何の躊躇もなく机に向かって歩いていた。

ネイルはもうよく乾いていて、あたたかみのない蛍光灯の明かりに照らされると、ピンクのフレンチネイルがキラキラと輝いた。

今日のブログのネタは、ネイルでいいか……。

そんなことを考えながら、私は重いため息をつく。

案外、毎日ネタをさがしてブログをアップして、コメントを返してっていうことをやっていると想像以上に時間も労力も使うんだ。

いくら人気があっても、現状を維持するのはなかなかいい仕事なの。

面倒くさいけれど、起動されたままのノートパソコンが待っている机に向かった。

いつものように、ももたんのマイページにアクセスすると、メッセージが1件きていた。

せっかく書き始めようと思ったけど、これを先に片付けようとして受信箱を開く。

でも、そのページを開いた直後、私は凍りついた。

またあの恐ろしい名前があったから。

あの、アキムっていう名前が……。


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