キズだらけのぼくらは
ふと、気配がして入口の方へ顔を向ければ、寄り添って立っている結愛と新太が笑顔をキラキラと光らせている。
私は、笑って頷いてみせる。
するとふたりは駆け寄ってくる。
「やったぁ、よかった!」
結愛は地べたに座っている私に飛びついて、押し倒しそうに抱きしめる。
「苦しいよ、結愛」
そう言ってギュッと抱きしめられながら私は微笑み、結愛の傍らで笑って立っている新太に苦笑いしてみせる。
嬉しいよ、この瞬間が。
すごくすごく、嬉しいよ。
その時、玄関の扉が静かに開いた。
「海夏……! 海夏、本当に……!」
くたびれた髪をした彼のお母さんが目をまん丸にして、薄いTシャツ1枚のまま外へ出てくる。
そうして、たちまち海夏ちゃんへ駆け寄った。
「海夏……、海夏……、海夏……」