キズだらけのぼくらは
サンダルを飛ばして部屋にあがり、海夏ちゃんをきつくきつく胸に抱くお母さん。
「お母さん、ごめん。本当にごめん」
「いいのよ、そんなこといいのよ。お母さんこそ、ごめんね」
ふたりの嗚咽が漏れ聞こえてくる。
お母さんも海夏ちゃんもお互いに抱き締めあって、それ以降は言葉はなかった。
言葉がなくても伝わっているみたいに、泣きあって、笑顔がこぼれた。
目の前では結愛が自分のことのように涙をぼろぼろ落としている。
「本当に、本当によかったよぉ。うぅっ」
私は、しゃがみこんで結愛の肩に手をのせた新太と困ったなって幸せな苦笑い。
あっちもこっちも、涙と笑顔が溢れている……。
そんな時、私はアイツと目が合って、ドキリと心臓が敏感になる。
きょとんとしていて、涙で瞳を光らせているアイツ。
「……よかったね、海夏ちゃんのこと」
心の奥が熱くなるのを感じながら、私は彼に向かって呟いた。
すると彼は、星が瞬く空の下で、いつものように得意気な薄笑いを浮かべる。
やっぱり、コイツはこうでなきゃね。
そして周りのみんなを見渡して、そのひとりひとりの顔にあたたかさを感じる。
私は、今日の星空をずっと忘れないだろうと胸に刻みつけた。