キズだらけのぼくらは
不思議なあのサイトが出会わせてくれた。
そう、ふたりのアキムが……。
うまく生きられないキズだらけの私たちに、たくさんのものをくれたんだ。
仲間を、優しさを、素直さを、そして“強さ”を。
これからも、生きていればキズつくことはいっぱいある。
でも、仲間ができた私たちは、前より少しだけ強くなったよ……。
いっぱい、苦い想いも、痛い想いもしたけれど。
私は待ち受け画面をちらりと見る。
月の見えないただまっ暗に見える夜空の写真。
この夜を超えてきたのだから、私たちはきっと大丈夫。
私はそう、スマホに映ったスッキリした顔つきの自分に笑顔を向ける。
「桃香~、スマホばっかりいじってないで話そ~よ~!」
「はいはい、ごめんってば」
肩に腕を回して抱きつく結愛に、笑って言葉を返す。
となりの新太も、梯子の上の大翔もみんな笑っている。
どこまでも広がる空に、私たちの笑い声が大きくとどろいていた。
*END*