キズだらけのぼくらは


私はソラのそんな言葉を目にして、思いきり眉をひそめた。

あのアキムが、そんなことをするわけない……。

私は居場所を奪われそうだっていうのに。

アキムのせいで私は、昨日からどんなに怯えていることか……。

それを思い出すだけでも怒りがこみあげてくる。

けれど、ブラックが私に初めて話しかけてきた。

【まだ知らないみたいだけど、ここは、心にキズを抱えている者同士が語り合う場所だ。アキムはそんな俺たちを、ここに集めてる】

キズを抱えている者?

なにそれ? これも、ふざけているの?

私をおとしめようとしている人間が善人で、そして三軍以下みたいな人間を救うためにここを管理している?

あり得ない嘘を並べるにもほどがある。

【あなたたちもアキムとグルっていうことですか。そんなに私をネットから追放したいわけ?】

部屋には、憎しみが込められたような強くキーをたたく音が響く。


< 52 / 490 >

この作品をシェア

pagetop