キズだらけのぼくらは
崩せないキャスティング
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私は窓に左手を伸ばす。
窓にピタリと張り付けた手のひらからは、じわりと冷たさが伝わってくる。
手のひらから窓ガラスへと、まるで体温が吸い取られるような気がした。
ゆっくりと手をはなした私は、右手にスマホを握ったまま、ぼんやりと前を見る。
窓の向こうには、傘をさして通り過ぎていく生徒たち。
子供みたいに傘を振りまわして遊んで友達を笑わせる男子もいれば、周囲を気にすることなく5人も横一列に仲良く並んで帰っていく女子の集団もある。
中には、堂々と相合傘をしてくっついているカップルもいた。
私は肩をすくめて苦笑いをする。
みんな、幼い子供に見えるんだ。
彼らを見ていると、昔よくしていた遊びを思い出す。
勝手に都合のいいキャスティングを決めて、話を自分の好きな方向へだけ進ませる遊び。
そう、おままごと……。