キズだらけのぼくらは


雨音に溶けこんでしまいそうなほどの小さなつぶやき。

思わず聞き返そうと思ったけれど、できなかった。

彼の低い声は、掠れていて弱々しかったから。

あの時の彼からは考えられない。

この声といい、その赤い目といい、もしかして……。

「ねぇ、アンタ、なにしてたの?」

私は思い切って問いかけた。

緊張から、ギュっと拳を握りしめる。

なのに、彼の言葉はまた唐突だった。

「この雨、いつ止むんだろ?」

まったくかみあわない会話。

私を無視しているの?

「そんなの私だって知らないってば」

なんだか腹立たしくなって、ぶっきらぼうな言葉をぶつける。

そしてまた私は、鋭い目で彼を見た。

だけど、私はあるものを見てしまったんだ。


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